今回は江戸時代の体捌きの秘密についてお話しします。
江戸時代は旅人の場合、一日30キロや40キロほど歩いていました。
仕事としても料理屋、百姓、土木など様々です。
浮世絵で庶民の暮らしが描かれていますが、驚くのはその動きです。
今の僕らからすると、くねくねとした印象を受けますし、手の位置が普通と違うように見えます。
正中面での腕捌き

例えば、鰻屋の絵です。
うなぎを捌いているのですが、その手の位置が不思議な位置です。
片方の手で頭を押さえて、もう片方の手で捌くのですが、両手がクロスしてます。
普通は左手で押さえたら、右手の包丁で右側で捌きます。
手がクロスする瞬間は基本的にはないです。
江戸時代の人は手を正中面で扱うことができました。
実はこちらの方が全身が使えて力が入りやすいです。
正中面というのは体を真ん中で真っ二つに割った時の真ん中のラインのことです。
正中面は今では武術でよく聞く言葉です。
江戸時代の人はこの正中線上での動きが普通にできたのではないかと考えられます。
仕事の風景に出て来ますからね。
肩甲骨の分離

これは体が上手に使えていないと難しいです。
例えば、肩甲骨です。
肋骨と肩甲骨の間が剥がれていないと、正中面には腕が入って来ません。
腕が真ん中に来る前に止まってしまいます。
肩甲骨は大概、引っ付いて動きにくくなっています。
橈骨使いの江戸人
魚捌きで使えている他の骨としては橈骨があります。
特にうなぎのようなぬるぬるしたものを抑える時には橈骨で抑えると安定します。
今は尺骨で押さえることが多いです。
しかし尺骨で押さえると、力が外に逃げやすいです。
身体開発するとわかる江戸人のすごさ

このように江戸時代の体捌きには秘密があります。
浮世絵を見て、この動きはデフォルメではないか、大げさに描かれているのではないかと言われることがあります。
しかし、体が使えるようになればなるほど、江戸時代の動きのようになってくるのです。
その動きがいかに楽かわかりますし、合理的であるのもわかってきます。
この動きなら怪我は少ないだろうなとかもわかってくるものです。
ぜひ、そちらに舵を切って欲しいです。
